終末時計(しゅうまつどけい)とは、人類が核戦争や環境危機などによって滅亡するまでの残り時間を象徴的に示す時計です。1947年にアメリカの科学者グループ「原子力科学者会報」によって設立され、以来、国際的な情勢や危機の度合いに応じて時刻が調整されています。時計の針が「真夜中」に近づくほど、人類が直面する危機が高まっていることを意味します。
最新の終末時計の時刻は「残り89秒」
2025年1月28日に発表された最新の終末時計の時刻は、「残り89秒」となりました。これは前年の「残り90秒」から1秒進み、過去最短の時刻を更新しています。89秒前という時間は、これまでにないほど危険な状況であることを示しています。
この決定の背景には、以下のような要因があります。
- ロシアによるウクライナ侵攻:核兵器使用の可能性が指摘されている。
- 核軍拡競争の激化:新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止が発表された。
- 気候変動の深刻化:2023年は観測史上最も暑い年となった。
- AIの軍事利用の進展:制御不能な自律兵器のリスクが増大。
- 感染症の拡大リスク:新たなパンデミックの可能性が懸念されている。
終末時計の歴史
終末時計は1947年に初めて設定され、当初の時刻は「7分前」でした。その後、以下のように変動してきました。
- 1953年:残り2分(アメリカとソ連が水爆実験を実施)
- 1991年:残り17分(冷戦終結により史上最も遠のく)
- 2018年:残り2分(北朝鮮の核開発や地球温暖化の影響)
- 2023年:残り90秒(ロシアのウクライナ侵攻が影響)
- 2025年:残り89秒(さらなる核の脅威と環境問題の深刻化)
このように、世界の状況に応じて時刻が変化してきました。
なぜ「89秒前」まで進んだのか?
終末時計がこれほど切迫した時刻になった主な理由は、核戦争のリスクと地球環境の悪化です。
特に、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界の核兵器の使用リスクが高まっています。ロシアのプーチン大統領は新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を発表し、これによって核軍拡競争の再燃が懸念されています。
また、気候変動の問題も深刻です。2023年は観測史上最も暑い年となり、異常気象や自然災害が頻発しました。温室効果ガスの削減が進まない中、地球の未来はますます不透明になっています。
私たちにできること
このような状況を受け、国際社会や個人が取るべき行動について考える必要があります。
- 核兵器廃絶への働きかけ:政府や国際機関に対して、軍縮や平和的外交を求める。
- 環境問題への取り組み:再生可能エネルギーの導入や省エネ活動を推進する。
- 情報リテラシーを高める:フェイクニュースに惑わされず、正しい情報をもとに行動する。
- 市民レベルのアクション:選挙で環境問題や平和を重視する政策を支持する候補者を選ぶ。
終末時計の針を少しでも戻すためには、世界のリーダーだけでなく、私たち一人ひとりの行動が重要です。
まとめ
2025年の終末時計は「残り89秒」となり、過去最短の時刻を記録しました。核戦争の脅威や気候変動、AIの軍事利用など、多くの危機が重なっています。
しかし、絶望するのではなく、今こそ行動することが求められています。世界の未来を守るために、私たちにできることを一つずつ実践していきましょう。
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